
大前研一 新しい消費者 ―ネットを味方にできないビジネスは消滅する
内容紹介
スマートフォンの登場により、消費の世界は激変しています。これまで店舗に出向かないと購入できなかったものが、スマホの画面操作で自宅まで届けてくれる仕組みができあがりました。現状のリアル店舗だけで対応する企業の売上げが落ち込む中で、ネットとリアルと組み合わせた新しいビジネスを作り上げた企業の伸びが顕著になっています。世界中で売上げを伸ばし続けるAmazonのような新しい企業に対してどのように対応していけばいいのか、その答えがこの本には書かれています。
27期連続増収増益を記録する国内スーパーであるヤオコー、日本発の世界的なブランド「MUJI」を展開する良品計画、AIを使って未開拓の小売・流通業に革命を起こすABEJA、アジアの巨大なインバウンド旅行市場を取り込むフリープラスを事例に取り上げ、新しい時代に対する会社の「勝ち残り方」を紹介します。
【著者より】
はじめに
二〇一七年一〇月に行われた衆議院議員総選挙で自民党は大勝しました。安倍晋三首相は自身の掲げるアベノミクスの成果が勝利の要因だと思っているようですが、とんでもありません。
日本人の個人消費は九〇年代後半からまるで伸びていないのです。最大の理由は、日本の低欲望社会化。安倍首相のいうようにこれから景気がよくなって物価が上がるとは思えない。むしろ将来のことを考えると不安ばかり膨らんでくる。そこで、誰もが「いざというとき」に備えてお金を使わなくなってしまったのです。
一方で、中国人の爆買いに代表されるインバウンド消費、越境EC、メルカリのようなフリマアプリを利用した個人間取引、Uber(ウーバー)やAirbnb(エアビーアンドビー)といったシェアエコノミーなど、グローバル化やデジタル化によって、新しい形態の消費が拡大しつつあります。また、スマートフォンの普及は、インスタ映えが消費のモチベーションになるといった新たな現象を生み出しました。
そんな新時代の消費動向をきちんと理解し、的確に対処できれば、確実にビジネスチャンスを掴むことができます。
具体的にどうすればいいのかは、ぜひ本書を読んでみてください。アベノミクスよりも価値ある情報が書かれているはずです。
二〇一八年六月 大前研一