

ストラテジック・マインド
変革期の企業戦略論
内容紹介
「逆輸入」の名著、四半世紀の刻を超えて待望の復刊――。
本書の原本は、大前研一氏が著し、1982年にアメリカのマグロウヒル社から刊行された"The Mind of the Strategist"だ(この年は、アメリカでフォードが初の無配に転落し、日本ではトヨタ自工とトヨタ自動車販売が合併した年でもある)。「日本企業の強さの源泉は何なのか?」、世界中が知りたがっていたまさにその時に刊行され、大前氏の名を広く世界に知らしめた1冊である。
だが、本書が世界で高く評価された理由は「日本企業を強くしたノウハウ」が書かれていたからではない。それどころか、大前氏は本書の中でその種の安直な解を一切提供していない。大前氏は「原著まえがき」にこう書いている。
「本書で私の申し上げたい趣旨は、立派な事業戦略は、厳密な分析よりも、特定の意識、心象から生まれるものだ――ということである。"戦略家の意識、心象(ストラテジック・マインド)"とも呼ぶべきこの心的状態のなかでは、洞察力とそれに伴う達成意欲、ときには使命感にも通じる意欲が推進力となって、思考作用を開花させる。これは基本的には合理性よりも、むしろ創造性と直感に基づく思考である」
21世紀の今ならば、日本のビジネスパーソンは「マインドセット」「ディープスマート」という言葉を知っている。スキルと合理性を極めるだけではビジネスの世界で勝者となることはできないと知っている。真に必要なものは洞察する力なのだ――と。その重要性を25年も前に世界に向けて提唱したのが、本書『ストラテジックマインド』である。
ロングセラーの名著『企業参謀』、2009年の復刊後に再度のベストセラーとなった『マッキンゼー 現代の経営戦略』――両書と合わせて読むことで、読者の洞察力は一段と磨かれる。ストラテジスト(戦略家)たらんとするすべての人にとっての必読書である。